今日も部屋の奥は溶けそうな熱さです

お腹の奥が溶けるように熱い。
ドロッとして熱を孕んだ重み。
それはきっと今の私の塊のようで
熱く、湿って、鈍く気怠い重さ。


他人が中に入り込むと痛みを感じる。
誰にも踏み込まれたくない、本当は見てほしい。
私の中の奥。深いところ。
急に踏み込まれると痛いから、指で触るように優しく見て。
でも、扉は固く閉ざしてあるから激しく壊してくれなきゃ開けない。
心も身体も同じだ。
知ってほしい奥は心の中なのに。

こんなはずじゃなかったと、
こんな日々は思い描いてた未来と違うと
幼い頃の私が奥で叫んでる。
私は今もあの頃の私のままなのに
人の目に映る姿は違うのだろうか。

なりたかった私になれてない。
そもそも理想の将来の私とはなんだったのだろうか。
確固としてぶれぬ夢や目標があったのなら、私は今こうして未来の自身への幼い期待を裏切ることはなかったんだろうか。
なりたいものなどなかった。
ただただ流れるままにと誤魔化しては
自分の誤った選択を否定しないように
そうせざるを得なかったのだと言い続けて
これ以上自分を責めて、また壊れないようにと言い訳。
いっそ壊れてしまえ。
一度は壊れて転んで立てたのだから、もう一度転んだからなんだというのだ。
もう自分で立ち上がれるだろう。
いつまで幼さに縋っているのだ。

私はきっと父と母にありのままを認めてほしかった。
頑張ったねと頭を撫でて褒めてほしかった。
兄のように上位であり続けること、良い点を取ることが当たり前ではないと、努力しても才能に差は出てしまうのだと、諦めてほしかった。
私は所詮出来の悪い子だから、兄とも、あの子達とも同じことは出来ないのだと隠れて泣いていることを知ってほしかった。
大人になったねと言ってほしかった。

親が私を子供だというのは、努力などしたことないことを知っているからこそだ。
本気になっても、期待に応えられない自分を見せるのが怖いのだ。
それは大人の期待だったり、幼い頃の自分からの期待だったり。
いつまでも頑張らないことを頑張れないだけなのだと言い訳している。
私が見てほしいのは成績じゃない。
大人の望む良い子の部分ではなく、
ただ今を楽しんで一瞬一瞬を幸せに生きていたいと、死ぬはずだったのに前向きになった今の私の心の奥の気持ちや考えだ。
でも、もういい。知られなくてもいい。
知ってほしいのはもう親ではないのだ。

行きずりに流れるままに、手を取って
誰かと朝を共にすることが増えた。
そのコロコロと変わる誰かがいつか
いつも同じ一人だけになってほしい。
いつか出会えるその人だけが知ってくれたらいい。
その人にだけ奥に触れてほしい、奥を見てほしい。

早くその誰かに出会える日を待ち望んで
私は今日も夜の街に足を踏み込む。
それこそが間違いだとわかっていても
きっと同じ暗さを求めてしまっているのだ。

夜は真っ暗な部屋だ

眠れない夜が増えた。
というか眠らない夜が増えた、といった方が正しいだろう。
私は朝まで眠らずに何をしているんだろうか。

遊び歩く夜。
一人歩いて帰路に就く夜。
夜の街はネオンがギラギラして見えたり、足元も見えないほど真っ暗に見えたりして怖い。
まるで人の目のようで怖い。
なのに近付きたい。触れたい。

夜は真っ暗な部屋だ。
部屋の中に二人きりでフワフワとなれば、そこには性しかない。
理性などいらない、ただ求めるままに。
離人しているように浮遊していなければ、少しも素直になれない、可愛くない女。
今の私にはそれしか縋るものがない。
それしか自分を表せるものがないのだ。
部屋の中にいる時は、孤独しかない。
誰かの腕の中に居たとしても、誰かを想っていても、結局独りだ。
だからこそ触れたくなるし、触れてほしくなる。
そうやってぐるぐる考えて、想いを馳せる。
この部屋は、私にとってそういう空間だ。

でもいつか、この部屋に一人じゃない日が来ることを待ち侘びてるのだ。
ただ静かに願っているのだ。